「男とならまだましだよ!社長も動揺してる。俺はもうクビ決定だよ・・!なんで女なんだ?しかもルームシェアしてる相手だし、最近売れ始めたばかりのモデルじゃないか!」
「知らなかった・・」
「これから社長と話さなきゃ。たぶん処分があるかもしれない。覚悟しておいた方がいいのかもな」
「作田・・ごめん。あたしのせいで・・作田に迷惑かけて・・」
「いいんだよ。マネージャーはタレントの管理するのが仕事なんだ。ちゃんと管理しきれなかった俺が悪いんだから・・」
最近怪しい車がマンションのあたりをうろついてるっていうのは、近所の人から話は聞いてた。
きっと、ゴシップを狙った記者かなんかの車だったんだ。
それなのに無防備にこんな写真撮られて・・・。
「それより奏、葵ちゃんとの仲はどういう仲なんだ?俺たちには教えてくれるよね?」
「・・・・ごめん、この写真の言わんとしてることそのものだよ」
「付き合ってるってこと?」
「うん・・」
静かに頷くと、作田は思いがけない言葉を返してきた。
普段なら絶対にありえない言葉だった。
「すごいな、ほんとに・・。タレントだって一人の人間だしな。恋愛を制限されて、完全に断ち切れるほどみんな屈強な精神を持ってるわけじゃない。だけど決まりを破って自分を危険にさらしても、好きだって思える相手がいるなんて、羨ましいよ。俺にはできない」
「作田・・・」
「奏はきっと売れるよ。これからも。その写真がいくら出回っても、逆に奏の背中を押してくれる気がする。これからの時代は、奏が創るんだ。俺にはそれがわかる」
ここにきて、いつも弱気な作田が初めて強い口調で励ましてくれた。
やっぱりあたしは作田じゃないとだめだ。
作田は絶対クビにはしないように社長にお願いしなきゃ。
「俺が精いっぱいフォローするから。奏、ちゃんと社長に説明してね」
「わかった」
お決まりの作田とのハイタッチ。
社長室の前で、気合いを入れなおす。
「失礼します―――」