昼休み*屋上にて…


美和:「…言える?」

杏里:「…うん。」

杏里:「昨日はね、健吾に会ってたの。」

健吾。
それはウチの元カレの名前。

美和:「え…どうして。」

杏里:「呼び出されたの、電話で。もちろん最初は断ったよ?でも、家の前に来てるって言われて…」

美和:「そっか…」

杏里:「幸樹、心配してた?」

美和:「そりゃもちろん。杏里なんかあったの?って、何回も聞いてきたよ。」

杏里:「そっか…あとで謝らないと。」

美和:「ちゃんと自分から言える?」

杏里:「うん、大丈夫。」

美和:「わかった。」

♪〜

杏里:「…!?」

美和:「誰から?」

杏里:「幸樹。」

美和:「心配なんだよ。出てあげな?」

杏里:「うん。」

ピッ

杏里:「もしもし。」

幸樹:「昨日、どうしたの?」

杏里:「あのね。昨日、元カレに呼び出されたの。最初は断ったんだけど、家の前に居るって言われて…」

幸樹:「…で?」

杏里:「え?」

なんか、

幸樹:「そいつになんて言われたの?」

いつもの幸樹じゃない。

杏里:「…やり直そうって。」

もしかして、

幸樹:「杏里はなんて言ったの?」

怒ってる…?

杏里:「もう彼氏いるからって、断ったよ。」

幸樹:「そっか。」

杏里:「…あの」

幸樹:「あのさ、そいつのフルネームと電話番号。」

杏里:「…え」

幸樹:「教えて。」

杏里:「もう関わんないら。」

幸樹:「俺はやめてくださいって口で言うような優しい男じゃないの。」

杏里:「でも…」

幸樹:「でもじゃないの。」

なにかを悟ったのか、
美和が横から携帯を奪う。