結局その日、
美和は教室に
戻ってくることはなかった。
やっちゃったなぁー
そう思いながら
いつもの道を歩いていた。
不意に着信音が鳴る。

杏里:(誰?)

画面表示を見ると
そこには幸樹の名前が
表示されていた。

杏里:(あ…今日会う約束だったんだっけ。)

ウチはすぐに歩く方向を変え、
電話に出た。

杏里:「はい、もしもし。」

幸樹:「あ、今どこ?」

杏里:「本八幡。」

幸樹:「じゃぁあと15分くらいか。」

杏里:「もう津田沼?」

幸樹:「うん、今着いたよ。」

杏里:「そっか。」

幸樹が何かを悟ったのか、
ウチに質問してきた。

幸樹:「杏里、怒ってる?」

その質問を聞いて我に帰る。
確かに声のトーンが
いつもより低くなってたし
すごくそっけない返事を
してしまった。

杏里:「えっ、怒ってないよ」

幸樹:「そっか、ならいいけど…」

杏里:「じゃぁ、もう電車来ちゃうから。」

幸樹:「あぁ、あとでな。」

杏里:「うん、バイバイ。」

電話を切るなり
ウチは溜め息をついた。

杏里:(…疲れてるのかも。)



電車に揺られること15分。
津田沼に到着した。
色々あって疲れてると
幸樹にバレないように
わざと笑顔を装った。

杏里:「遅くなってごめんっ」

幸樹:「いや、大丈夫。」

これで会うのは2回目だ。

幸樹:「じゃ、行くか。」

杏里:「うん♪」

行くかと言っても
特に行く場所は決まってない。
そして結局公園にたどり着く。

幸樹:「まさかこんなすぐに会えるなんて思ってなかった。」

杏里:「ウチもー(笑)お互い暇だねー」

幸樹:「だな。杏里は今日、学校で何してたの?」

杏里:(美和とケンカしたなんて言えるわけがない。)

杏里:「めっちゃ女子talkして爆笑してたっ♪」

幸樹:「あははっ学校楽しそうだね(笑)」

杏里:「うん、めっちゃ楽しいよ!」

幸樹:「俺といるときとどっちが楽しい?」

杏里:「え…」