杏里:「仲直りできますか?」

隼斗:「そりゃしたいよ。」

杏里:「だったら今すぐ美和に電話を…」

隼斗:「したいけど」

言葉をさえぎられた。

隼斗:「…したいけど、出てくれないんだ。」

杏里:「そんな…」

隼斗:「そうとう辛い思いをさせちゃった。」

杏里:「…明日、学校でもう一回美和と話してみます。」

隼斗:「いいの?」

杏里:「美和には沢山迷惑かけてるんで、これくらいなら。」

隼斗:「巻き込んじゃってごめんね、ありがとう。」

杏里:「いいえ♪じゃぁまた明日連絡しますね。」


電話を切って思う。

杏里:(幸樹ごめん。約束破っちゃった。でも幸樹ならこれくらい許してくれるよね。だって、友達のための電話だもん。)




次の日の朝、
ウチは早速
美咲に話を聞いてみる。

杏里:「ねぇ美和。」

美和:「なに?」

杏里:「あの、さ。隼斗くんとはどうなったの?」

美和:「別に何もないけど…」

杏里:「もう隼斗くん家には行かないの?」

美和:「…まだわかんない。」

杏里:「そっか、そうだよね」

美和:「多分もう、…戻らないよ。」

杏里:「なんで…。」

美和:「そりゃそうでしょ。あんな怖い思いしたのに今さら“戻ってきて”なんて。」

美和の表情は
昨日までの
顔つきではなかった。

ウチはその言葉に
なぜか苛立ちを覚えた。

杏里:「確かに美和に怖い思いさせて酷いと思った。だけど、隼斗くんだって自分勝手だったってすごく自分を責めてた!!その気持ち、わかってあげて?」


…しまった。


美和:「なんで…隼斗と話したかのように言うの?」

杏里:「それ…は……」

美和:「ウチに黙って勝手に連絡とりあってたんだ!?ウチの気持ちわかってるフリしてホントは隼斗を庇ってるんだ。」

杏里:「そんなことっ」

美和:「ウチは!!…ウチは杏里だけにはウチの気持ちわかってほしかった。」

そう言い残して
美和は教室から出ていった。

杏里:(…ウチ、サイテーだ。)