幸樹:「…杏里。」

杏里:「ん?」

幸樹:「大好きだよ」

顔が熱くなるのを感じた。

杏里:「…ウチも!!好きだよっ」

幸樹:「足りない。」

杏里:「へっ!?」

幸樹:「好きだけじゃ足りなーい♪」

杏里:「…大好きだよ。」

幸樹:「よし、足りたじゃぁね。」

杏里:「ばいばい。」

携帯を閉じて
両手を両頬に添える。
熱い。
大好きって言葉に
慣れてないけど
決して幸樹を
重いだなんて思わなかった。
むしろ、新鮮で嬉しかった。
ううん。
そっちの方が好きなのかも。

幸せに浸っていたウチに
一本の電話が鳴った。

杏里:「もしもし」

 ?:「もしもし、…杏里ちゃん?」

杏里:「えと、どちらさまですか?」

 ?:「始めまして。美和の彼氏の隼斗です。」

杏里:「えっ、なんでウチの番号を…」

隼斗:「今の俺と美和の関係、美和から聞いた?」

杏里:「はい。」

隼斗:「杏里ちゃんのことは美和からよく聞いてて、この前美和を怒鳴ったときに、あいつ手帳を置いていっちゃったからそこに書いてあった杏里ちゃんの番号を見つけて勝手にかけた。ごめんな。」

杏里:「いえ…どうしたんですか?」

隼斗:「年上なのにカッコ悪いけど、杏里ちゃんに相談したくて…」

杏里:「いいですよ。ウチも色々話したいことありますし。」

隼斗:「ありがとう。なんでこんなこと起きたかは大体聞いたかな?」

杏里:「はい。隼斗くん、色々大変な時期なんですよね。」

隼斗:「あぁ。でも今冷静になってみて、なんであんな酷いことしちゃったんだろうって、すごく後悔してる。」

杏里:「隼斗くんは悪くないですよ。」

隼斗:「いや、今回は俺が悪いんだよ、杏里ちゃん。」

杏里:「だってストレスなんて誰にでもあることですよ?隼斗くんが悪くないってこと、美和もちゃんとわかってます。だからそんなに自分を責めないでください。」

隼斗:「…ありがとう。」