美和:「杏里が悪いわけじゃないよ。」

杏里:「だってウチ今っ…」

美和:「嬉しいって気持ちを一番最初にウチに言ってくれて嬉しかったよ。」

杏里:「でも……じゃぁ次はウチが聞く番!何があったか話せる?」

美和:「うん、ありがとう。」

杏里:「ってゆーかウチ、美和に彼氏がいたとか聞いてないよ!?」

美和:「その時は杏里に彼氏いない時だったからなんか言い出せなくて…」

杏里:「そっか、ありがとうぉ!!…ここじゃ何だし、人がいないとこに行こう。」

美和:「うん。」

そう言って、
ウチらは非常階段へと向かった。

杏里:「…話せる?」

美和:「うん、あのね。
相手は大学3年生で
隼斗(はやと)っていうんだ。

受験生で忙しいし、
バイトだって夜遅くまで
やってるから
今一番大変な時期なんだって。
ウチいっつも
隼斗の家に泊まってて
忙しいこと知ってたんだけど
やっぱり甘えたかった。
構ってほしかった。
だからちょっと
わがまま言っちゃったら
めっちゃ怒鳴られて
出ていけって言われたの…
隼斗があんなに怒ったの
初めてだったから
正直怖かった。
忙しいのわかってるのに
甘えたウチが悪いのかなって、
昨日からずっと
…涙、止まんなくて…」


そこから先は
何も話すことなく
ただただ、
泣き続けるだけだった。
いつしか美和を
ウチは抱き締めていた。
そしてつられて
一緒に泣いた。