♪〜

携帯の着信音が鳴る。

杏里:(…メールだ。)



Dear:杏里
From:幸樹

今日は会えてよかった。
時間遅くなってごめんね。
初めて会って顔を見て、
別れたいと思った?



また頬が上がった。

杏里:(バカだな、別れたいと思うわけないじゃん。)



Dear:幸樹
From:杏里

そんなわけないじゃん。笑
ウチも会えてよかった。
今日はありがとう。
逆に別れたいと思った?



杏里:(そーしん!)

微笑みながら
そっと携帯を閉じた。



♪〜

Dear:杏里
From:幸樹

別れたいって
思うわけないじゃん!
ずっと一緒に居たいと
思いました。


嬉しかった。
やっぱり恋って楽しすぎる。

幸樹の優しさに、
ホントに不良なのか
疑いたくなる。

いつのまにか
幸樹への想いが
どんどん強くなっていた。




翌日、学校へ行くと
珍しく美和がもう来ていた。

杏里:「おっはよ♪」

美和:「あ、おはよ…」

杏里:「昨日ね、結局家に帰ったのが9時で親にめっちゃ怒られた!」

美和:「そうなんだ。」

杏里:「でも幸樹に会えてホントよかった!!」

美和:「…よかったね。」

あぁウチは、
なんてことを
してしまったんだろう。
目の前で美和が
今にも泣き出しそうな顔を
しているのに、
ウチはなに一人で
盛り上がってんだろ。

杏里:「…どうしたの?」

美和:「何でもないよ。」

杏里:「そんな顔して何でもないなんて言わないでよ。」

美和:「……別れたの。」

杏里:「…え?」

今、なんて…?

美和:「彼氏と別れたの。」

杏里:「うそ、ごめんっ!」

ウチは後悔した。
友達の心配より先に
自分の高ぶった気持ちを
伝えたことに後悔した。