幸樹:「なんか変だな。」

歩きながら幸樹が言った。

杏里:「…なにが?」

幸樹:「付き合ってるのに今日が初めましてなんだもん。」

杏里:「あはは、だね。」

幸樹:「ねぇ、杏里。」

杏里:「ん?」

幸樹:「…手。」

そう言って幸樹が
手を差し出してきた。

ウチは微笑みながら
その手を握り返した。

不意に幸樹がもう片方の手で
ウチに目隠しをする。

杏里:「え、なに!?見えないっ!!」

幸樹:「杏里、俺を見すぎ///」

杏里:「えっ…」

幸樹:「そんな見られたら照れるwww」

無意識だった。
無意識に君のことを
見つめていた。

幸樹:「…なに笑ってんだよ」

杏里:「幸せで。」

幸樹:「ったく。」

幸樹がゆっくり
ウチの視界から手をどけた。

幸樹:「あんま見るの禁止!」

照れた顔があまりにも
愛しくて
可愛すぎて
ウチは幸樹に
笑ってみせた。


ちょっと歩いたところに
公園が見えた。

幸樹:「そこに座るか。」

杏里:「うん。」

2人で腰をおろす。

幸せすぎて
自然と笑顔になる。

幸樹:「なにさっきから笑ってんだよ。」

杏里:「ひみつー♪」

幸樹:「教えなさいwww」

杏里:「いやですwww」

幸樹:「教えないと耳触るよ」

杏里:「ぇえ、なんで耳!?」

幸樹:「美和に聞いた杏里の弱点は耳だってwww」

杏里:「なんで聞くのぉー!」

幸樹:「さぁ、答えなさいwww」

幸樹がニヤニヤしながら質問してくる。

杏里:「…ウチ、幸せだと笑っちゃうんです。」

幸樹:「可愛い。」

そう言って
幸樹の唇が
ウチの顔に寄ってくる。

そっと目を閉じる。

杏里:「…!?キャー!!」

杏里:「幸樹!耳、ダメ!あっ、待ってタンマっ!!」

幸樹は笑いながら
ウチの耳にキスをし、
口に加える。