誠を中に入れ、私と久家さんだけが廊下にいた。

「どうした?浮かない顔してる…」

ビクッとそれに反応してしまう私は、本当に馬鹿だ。
優しさは罪だと…誰かが言った。

『…ちょっと』

私は、そう言って苦笑する。
あまり優しくしないで、と口には出せずに…。

「優しさが怖い?」

久家さんは、真剣な顔と鋭い目で私を見る。
身動きが取れなかった。
それはまるで…蛇に睨まれた蛙。

『…っ!!』

「なんで怖がるの?」

久家さんは私を抱き寄せた。
それに対して私は、体を強張らせる。
怖い、男性が…怖い。

やっぱり優しさは罪…。