「はぁー...すっかり遅くなっちゃた。」

あの後、教室まで運んでいたら運悪く、強風に吹かれて積み上げられたプリントが自分の周りにバラバラと散らばった。

「あれはないよなぁ~...。」

赤く燃える夕日を見ながらつぶやいた。

私の周りにはあの夕日や植物、家の色、車の色などなどたくさんの色で溢れている。

でも、なぜだか分からないけど私の目にはすべて灰色の世界が広がる。

高校生になっても何も変わらない。

中学生の時、何かかわるんじゃないかってことばかり期待していた。

恋亜という大好きで大切な存在もいるし、家族の仲が悪いわけでもない。

それでも願ってしまうんだ。

何か変わらないかな。って。 何か熱くなれることはみつからないかな。

何かに一生懸命になるってどんな感じなんだろう?知りたいって。


 

そんなことを考えながら、帰り道の途中にある公園を通りかかった。

「...?...ギター...?の音...?」

なんの曲かは分からなかったけれど、

自然と足が、心が、その音の中心へと向かった。


「...!!?」

すごくきれいな人...。

横顔だけでフードをかぶっていたけど、その綺麗すぎる顔は、はっきりと分かった。

その人はとても気持ちよさそうにギターを弾いていた。

大好きなんだって知らない人が見ても分かるくらいに。