そして、博の家にいる郁美・・・。

何も話せなくてただ俯いてた。

博は、そんな郁美の様子を見ながらさり気ない気遣いをしていた。

「郁美ちゃん、とりあえずお風呂入って。これじゃ、ホント風邪引くから・・。」

「佐野君・・・。でも・・」

「大丈夫。落ち着いたら家まで送るから。ゆっくり
入って来て。」

「うん・・。ありがと。お風呂、借ります・・。」

「どうぞ。(^^)」

博は、郁美の悲しい姿に耐えられなかった。

郁美とは友達として良いイメージを持っていた。

だからこそ、修二と上手く行って欲しいのにと思ってた・・・。

今朝言ったことに守れない修二に頭に来ていた。

どこかやりきれない気持ちでいっぱいだった・・。

暫くすると、郁美がお風呂から上がり、博の服を着ていた郁美・・。

修二と逢った時と同じシチュエーションだった・・。

郁美の心の中では、どことなく心に罪悪感を持って

いたが今は、そんな事さえも考えたくなかった。

何も考えられない状態だった・・・。

「佐野君、お風呂ありがとう・・。ごめんね、迷惑掛けて・・。用事あったんじゃないの?」

「いいよ、そんな事気にしないでいいから。あのまま俺と会わなかったら風邪引いてたでしょ?」

「え、あ、うん・・・。」

「郁美ちゃん、女の子だよ?自分の体大事にしてね。」

博の言葉に思い出された郁美・・・。

『あのさ、君女の子でしょ?もっと自分の体大事にしたら?』

修二の言葉が頭から離れなくて、郁美は、泣いていた。

好きなのに・・・。

言葉に出来ない位、好きで、どうしようもなくて、

愛しているのに・・・。

何でこんな風になったのか・・・。

泣いてる郁美を抱きしめた博・・。

「好きなだけ泣きな。・・俺には、こんな事しか出来ないけど・・。」

「ふぇ・・う~・・・佐・・野・・君・・・。

ごめ・・ん・・ね・・」

「何も言わなくていいから。・・話は後で聞くから・・」

博の言葉に頷く郁美・・・。

今の郁美の心には、修二の事は何も考えられなかった・・。

ただ、博の腕の中で泣きじゃくる郁美だった・・。