その頃、郁美は、ずぶ濡れになりながら街中を走っていた。

大好きな修二だから余計に怖かった。

修二のあんな目・・。初めて見た・・。

よく考えて見れば郁美にも不注意な部分があったのかもしれない・・。

でも、偶然出逢っただけの事がこんな大きな事に

なるなんて・・・。

色々考えてたら余計に涙が出てしまった郁美。

俯きながら歩いていると、誰かにぶつかった事さえも

気がつかず歩いていた郁美。

『郁美ちゃん?』

誰かの優しい声に気がつき、振り向くと、博が不思議

そうな顔で見ていた・・。

「・・佐野君。」

「どうしたの?傘も差さないで、しかもずぶ濡れだし・・。修二と何かあったか?」

「ううん・・何も・・ないよぉ・・・。」

博は、もしかしたら今朝の修二の電話での事だろうと

予感はしていた・・。

そんな郁美を優しく慰めていた博・・・。

ひとまずは、博の家に向かった2人だった・・・。