「2人は知り合いなの?」


修矢が惚けて訊いて来た。


「あぁ、カズが仕事で出張の時に世話したことがある」

「ふぅ~ん」


修矢はウイスキーを口にしながら、疑いの目で見ている。


「あの、以前…スパイス屋さんでお見かけしましたよね?覚えていますか?」

「あぁ、覚えているよ。料理好きな杏花ちゃんだよね?」

「はいっ!!」


杏花は必死に修矢に話し掛けている。


「へぇ~、宮本の彼女だったんだぁ」

「悪いか?杏花、ここ座れ。何飲む?」


和成が上手い具合に杏花をフォローした。

杏花は和成に手を引かれ、和成の隣りに座った。


「そうだなぁ、カズに任せるよ」

「そうか?じゃあ、すみませぇ~ん!!」


和成と杏花はさり気なく同じテーブルについて、恋人同士というフリも完璧に。


その後、改めて全員で乾杯し直した。

和成を介して杏花と少し会話するが、隣りの女が無駄に引っ付いてくる。

俺は女の行動を振り払わず、優しく相手をした。