フェルトはエーテルに尋ねた。
「君は、相当優秀な魔術の使い手です。
自由に生きようと思えば、国を離れて敵が増えようとも、いくらでもそうできるはず……。
なのになぜ、自分の思いを捨ててまで国の意向を優先したのです?」
「あなたの言うように、私はいつでも自由になることができます。
でも、国のためだけにこうしているわけじゃありません。
もちろん国も大事ですが、なりより、自分がそうしたかったからです。
自分を生み、育ててくれた国王を、見捨てることはできません。
次期王位を継ぐはずの私がいなくなっては、国をはじめ、民も混乱します。
私の…王位継承者の代わりは、探せばいくらでもいるかもしれない。
でも、やはり、国王達をあの城に置いて私だけ気ままに楽して生きるわけにはいきません。
それに、悪いのは罪であり、人ではないと思います……」