フェルトは気遣うように言った。

「つい、君のプライベートに立ち入るような発言をしてしまいました。

ぶしつけな事を言って、申し訳ありません」

「いいんです。

そういう感覚、同じ魔術師としてわかりますから」

エーテルは顔を伏せ、言った。

「私も、相手のオーラを通して、通りすがりの他人の心や、城に仕える兵士達の精神が見えてしまって、気まずく思うことがあるので……」

「やはり、そうでしたか。

魔術とは、なんて因果な能力なのでしょうね。

また、自然のオーラのおかげだけではなく、人の心にアプローチすることで、魔術は力を増すのかもしれません。

君も、私も……」

フェルトは言い、夜に浮かぶ草原を遠い目で見た。

魔術師は、多かれ少なかれ、オーラを通して他人の心を読めてしまう。

それは時に苦しく、後ろめたいものでもあった。