「礼には及びません。
当然のことをしたまでです」
フェルトは、マイ達が寝ている50メートル先のテントを眺めた。
「マイさんは、かわいそうな方です。
魔法使いの生き残りというだけで、様々な組織に狙われている……」
「本当に、そうですね……」
エーテルも憂(うれ)いた。
フェルトがこれまでに退治してきた者達だけでなく、マイは様々な者から恐れられ、排除されようとしている。
魔法使いの存在が伝説となった現代、人間にとって魔法を使うマイの存在は利用価値しかなく、そうできないのなら目ざわりな兵器となるのだ。
フェルトはエーテルを見て、表情を緩めた。
「でも、もう心配はいりませんね。
マイさんにはイサがいるし、君もいる。
自分を大切に思ってくれる仲間がいるのですから。
……ただ、私は、君のことも心配です」