フェルトは相変わらずひょうひょうとした面持ちで言った。

「立場上、詳しくは話せませんが、私はマイさんを見守っているだけなのですよ。

今のところ、君達に危害を加えるつもりはありません」

「『今のところ』?

引っかかる言い方ですね。

何が目的か知りませんが、はっきり言って下さい」

エーテルの声は、マイ達と居る時と違い尖っていた。

どのような敵からもマイを護るよう、エーテルは国から命令されているし、それだけでなく、マイの命を脅かす存在はエーテルにとっても敵である。

「あなたがどんなに良い人で、高い地位につく高名な方だったとしても、マイに手を出したら、私は一生あなたを許しません。

どのような手段を使っても、たとえこの身が滅びようとも、あなたを駆逐(くちく)する」

「そんなにピリピリすることはありません。

大丈夫ですよ」

エーテルの雰囲気にのまれることなく、フェルトは微笑をたたえていた。

「あなた達は、マイさんを傷つける目的で彼女のそばにいるわけではないのでしょう?

もしあなた達が彼女をどうにかするというのであれば私の出番ですが、そういう状況にはならないと信じています」