エーテルは怖じけづくことなく、フェルトを見据えた。
「……イサとの会話を聞いていたのね。
たしかに、最初出会った時からこれまで、あなたからよこしまな気配を感じたことはありません。
しかし、あなたはイサを煽(あお)るような物言いばかりする。
正体もわからない。だから……」
「そんな固い顔しないで、少し、お話しませんか?」
「お断りします。
護衛の最中なので」
「イサは昨日、夜間の護衛中にマイさんと楽しげに話していましたよ。
あなたは真面目な方なのですね」
何を言っても、フェルトにはことごとくかわされてしまう。
“これでは、イサの二の舞ね”
エーテルはため息をついた。