昼間の晴天はどこかへ消えていく。
まばらに広がる曇がそのうち月をおおってしまい、夜の空をよりいっそう暗くしていた。
エーテルは瞳に涙を浮かべて空を見上げる。
湿った草のにおいが漂う。
今にも泣き出しそうな空は、エーテルの心境と重なってみえた。
じきに雨が降りそうである。
しばらくそうしていると、何の前触れもなく強力な魔術の波動がエーテルをとりかこむように流れ込んできた。
エーテルは身構え、魔術を使うべく神経を集中させる。
どこから攻撃を受けても大丈夫なように、マイ達の眠るテントと自分の身の回りに、無色透明のシールドを張った。
全身にうっすら汗がにじむほど、強力なガードをほどこす。