今宵(こよい)は、エーテルが寝ている皆を護衛し、周囲を見張る番だった。
月明かりが彼女の頬を照らしている。
日中より涼しい風が吹く高原には、魔物が現れる心配もなさそうなので、今夜はそこにテントを張って夜を明かすことになった。
エーテルは、そっとテントの中をのぞいてみた。
昨夜護衛をしていたイサはぐっすりと寝ており、昼間はしゃいでいたマイとテグレンも、安らかな表情で眠りについていた。
テントを閉じると、エーテルは再び周囲を見渡す。
昼には青々としていた草原も、今はただ真っ暗なだけ。
暗さに目が慣れてくると、辺りに生えた草花が月の光で白く輝いているのが分かった。
昼間マイが言っていたことを思い出し、エーテルはため息をつく。