マイは疑問を口にした。

「私のいた国に代々伝わる秘宝って、何?

私の元には、そんな物なかったよ」

「それについては、俺も知らないんだ。

ガーデット帝国の上層部ですら……」

申し訳なさそうにうつむくイサを前に、マイは吹っ切れた表情で言った。

「そっか! まあ、分からないなら仕方ないよね。

私にも知らないことだらけなのと同じで、イサにも分からないことがあって当然だよ。

そんなにしんみりしないで?」

「マイ……」

“本当なら、俺がマイを元気づけなきゃいけないのに、逆に俺が励まされてるな……”

イサの思考を知ってか知らずか、マイはカラッとした口調で、

「たしかに、気になることはいっぱいで、考えるとキリがないけど、私には血のつながった両親がいる!

それを知れて、ホッとしたっていうか、なんか今、幸せな気分。

私、いつか自分の親に会いたいな!

秘宝も、いつかきっと見つけだして、私がアスタリウス王国を復活させてみせる!」

明るく夢を語るマイに、イサはやや気後れし、

「……もう、平気か?」

「なにがっ?」

「両親がいなくて、ずっと寂しそうだったから……」

イサは照れたように斜め下を向く。