両親が無事だとわかり、マイは安堵(あんど)した。
「よかった……。お父さんやお母さんは生きてるんだね。
しかも、二人は王様とお妃様だったんだね。
でも……」
「どうした?」
マイはいつも出さない沈んだ声で言った。
「お父さんとお母さんは、どうして私を一人にしたんだろう?
…………いらない子だったのかな?」
「それはない! そんな風に思わないでくれ」
「でも、おかしいよ。
私みたいな年の子はみんな、親がいて、ケンカしたり仲良く買い物に出かけたりしてたのに……。
私はいつも、一人だった」
マイは、丘での一人暮らしで感じた孤独を口にする。
会ったこともない両親が生きていると知り嬉しいのはたしか。
それと同じくらい、自分は不必要な子供だったのだろうかと受け止めてしまうのも仕方なかった。
マイがこれまで見てきた『親』という生き物は、誰に命令されるまでもなく、自らの意思で自分の子供を育て、子供を必要として生きている者ばかりだったのだから。