「マイをはじめ、アスタリウスの人達はとても優しかったし、時に励ましてくれた。

俺にとって、故郷みたいなもの……。

だから俺は、アスタリウスを滅した勢力を、許せない」

マイはイサの思いに胸を打たれ、同意を示す。

「記憶にないけど、私にも“両親”がいたんだよね?

もしかして、アスタリウス王国が滅ぼされた時、一緒に……?」

その戦で両親は亡くなったのかもしれない、と、マイは思った。

「それは大丈夫。

俺も詳しいことは知らないけど、マイの両親は敵の攻撃を受けず逃げのびたと聞いてる。

マイの両親は、二人ともアスタリウス王国の王と王妃であったから、城の家臣や兵士達に守られて、非常用の扉から脱出することも可能だったんだろう。

きっと今頃、人目につかない町のどこかで、ひっそり暮らしてる」

マイの両親について、イサはそう語った。