イサはマイを一瞬だけ見て、目を閉じる。

「マイは覚えてないかもしれないけど、昔の俺は、マイ達魔法使いの一族と時間を共にしていた。

――魔女の統治する国、アスタリウス王国。

今も、あの時のことはよく覚えてる。

過去に幾度となく敵に襲われていた我が国·ガーデットを救ってくれたのは、アスタリウスの人々だった」

「そうだったの?」

「ああ。剣術が生まれたのは、わずか数百年前のこと。

まだまだ小国だったガーデットは、隣国·アスタリウスに何度も救われてきたと、歴史書を通して語り継がれている。

俺とマイが生まれた当時も、その関係は変わらず続いてた」

ガーデット帝国の人間が剣術を駆使できるようになってからも、魔法使いの国·アスタリウス王国との親交は続いた。

アスタリウスの人々は、アスタリウス城内に出入りするイサを、暖かく迎えていた。