「…………うう……」

マイの眉間にはシワが寄っているし、心なしか呼吸も苦しそうだ。

“つらい夢を見てるんだな。

かわいそうに……。


……きっと、あの時の……”

マイの見ている悪夢に心当たりがあるイサは、そっとマイの頭をなでた。

「もう、こわくない。俺が、いる」

イサはささやく。

それでも、マイの脳内から放たれる映像は止まらなかった。

何の前触れもなく、彼女はガバッと起き上がり、

「そっちへ行っちゃダメー!!」

と、大声で叫んだ。

突然のことに、魔物相手にひるまないイサですら、一瞬のけぞってしまう。