フェルトはガッカリしたようにわざとらしいため息をつくと、
「……もう、この話は終わりにしましょう。
今のあなたは、国に従うだけの単なる犬。
私が何を話したとしても、あなたは自分にとって都合の悪い話は聞き入れないでしょうから」
「どういう意味だ!」
「現在のあなたには、護衛役が一番お似合いということです。
まあ、最後に、今のあなたにも理解できそうな事を一つだけ……。
私の国は、私があなたくらいの年だった頃に戦争で没落しました。
その戦で、両親や友人をたくさん亡くしたのです」
「なら、なおさら、俺やエーテルがマイに協力を請(こ)う気持ちが、あんたには分かるはずだ!」
「そうではありません。
イサくん。あなたは、もっと賢く立ち回った方がいい。
そうでないと、あなたも、あなたの国も、いつか自滅しますよ。
そう遠くない未来に……」
そう言い残し、フェルトは魔術で姿を消した。