イサはフェルトの腕をつかみ、
「あんた、一体何者だ?
エーテルを助けたと思ったら、俺達とマイを敵対させるような事を言ったり……。
それになぜ、アスタリウス王国の滅亡を知っている?
このことは人間社会に不安を与えないため、ガーデット帝国とルーンティアの上層部の者しか知らないはずなんだ」
フェルトはイサの言葉など気にもせず微笑を浮かべ、
「僕は君達を争わせる気など全くないし、むしろ仲良しでいてほしいと思っています」
「……信じられない。
なぜ、アスタリウス王国のことを知っている?
我が国の機密事項だぞ。
もしかしたら、お前はガーデット帝国を攻め落とすつもりでいる勢力の一員か?」
フェルトは、フッと見下ろすような視線をイサに向け、彼を煽(あお)った。
「無知な者ほど、恐ろしいものはありませんね。
あなたは本当に、次期王位を継ぐ人間なのですか?
正直に申しますと、いま私は、あなたのことを心の底から馬鹿だと思ってしまった」
「なに……!?」
イサはフェルトを睨みつける。