間違いと迷い。
憎しみと慈しみ。
決別と絆。
正義と悪。
命がけで紡がれた歴史の上に今が成り立ち、今日も人々は、前に進んでゆく……。
遠い未来には、どんな歴史が刻まれるのだろうか。
「そんなわけないのに、あの子にはどことなくイサの面影があったわね」
和服の裾をなでつつ、リジェーノはマイの子孫が向かったオリオン街を見つめる。
彼女の発言に対する答えなのか、ただの本心なのか、アルフレドは一言。
「……私達だけは、一生マイのことを忘れない」
その場に居合わせたグレンとルークは、真摯(しんし)にうなずいたのだった。
黒水晶·完