先祖の魔女が愛した剣術師のことを知るため、少年はめげずに書物をあさった。
――…数時間後。
昼食もとらず書物を読み進めていたかいもあり、少年はあるものを発見することが出来た。
分厚い書物に封印された、古い手帳。
封印は、特殊な魔術によるもの。
少年の体に流れる血が封印をといたのだが、彼にはその自覚がなく、書物を手にした瞬間不思議な現象を目の当たりにした、としか思わなかった。
紙面から浮き上がるようにして、小さな手帳が姿を現したのだ。
他の学生たちが気にもとめない、難解な歴史書。
その中に、特殊な魔術で封印され隠されていた古い手帳。
手帳の紙は年月のせいで黄ばんでおり、所々、ページの隙間に砂が挟まっている。
水滴がついたのか、紙面は部分的によれていた。
「……これだ!!」
少年は直感した。
これは、自分が探していた物に間違いない。
万年筆で書かれたらしきかすんだ文字を指で追いながら、少年は手帳の中の文章を黙読した。