少年は、国の民達や自分の両親にその話をしたが、「昔のことなんて知らないよ」と、軽くあしらわれ、相手にしてもらえなかった。

自分達が魔法使いと神の間に生まれた存在の末裔(まつえい)だなんて、誰も信じてはいないのだ。

それも無理はない。

長い歴史の中で、神と魔法使いの間に生まれた者の血は薄れ、現在は、何の能力も持たなくなったから。

だが、少年は信じていた。

彼には、少し先の未来を予知する能力と、前もって危険を回避する能力がそなわっている。

その能力は昔の魔法使いに比べたら微力かもしれないが、少年が、自分には神と魔法使いの血が流れていると確信するのには充分過ぎることだった。