天井まで届く本棚は威圧感を放っているが、照明のおかげで暗くはなく、目当ての本を探しやすい。
少年は、この国の歴史書が並べられた棚に近寄った。
小柄な彼は、目的の本が手の届く場所にあることに胸をなで下ろす。
今年15歳になるというのに、いまだに8歳の子供に見間違えられたりするからたまらない。
その上、童顔なせいで女の子と間違えられることもある。
いっそ女に生まれたかった、と、両親に文句を言ったこともあった。
彼は、自分の外見に対するコンプレックスを胸の奥に押しやり、ページを繰る。
だいたいは、自国の講義で習った通りのことが書いてある。
だが、少年の知りたいことは書かれていなかった。