リンネの言葉を耳にして、イサは頭をはたかれたような気分になった。
長年リンネのそばにいたのに、彼女の本心を何一つ知らなかった。
「リンネ……。それ、本気なの?
マイはリンネのお姉ちゃんだ。好きで離れて暮らしてたわけじゃないんだぞ?
エーテルが死んだのも、マイのせいじゃない」
「マイちゃんのせいだよ!
マイちゃんさえいなければ、ヴォルグレイト様も黒水晶を使おうだなんて考えなかったかもしれない。
ディレットも現れず、今もエーテルは生きていたかもしれない。
私は、ヴォルグレイト様にとって、マイちゃんの代わりでしかなかった。双子っていうだけで!
私は魔法なんて使えないのに、マイちゃんの妹っていうだけで、この城のみんなは、怯えた顔でこっちを見てくる!
イサには分からないでしょ、この気持ちは!
魔法使いへの偏見をなくすなんて、無理なんだよ!」
「どうしてそんなこと言うんだよ……。
リンネは、そんな子じゃないだろ?」
「そんな子だよ!
私は、ガーデット城で初めてマイちゃんに会ったあの時から、あの子のことが目障りで仕方なかったもん!
同じ顔してるのも、嫌で嫌で……!
どうしたらいなくなってくれるんだろって、毎日悩んでた」
「本気、なの……?」
イサはリンネの両肩をつかみ、悔しげな面持ちで彼女を揺さぶった。
「マイが今の言葉を聞いたら、どう思う!?
魔法使いを差別するような発言を、妹のリンネにされたなんて知ったら、マイは……!」
「そんなの知らないよ!!
魔法使いなんて大嫌いだもん!」