「リンネ……?」
イサは肩越しにリンネを振り返った。
リンネはうつむいたまま、
「……クッキー、食べないの?」
と、イサに尋ねる。
「わからない……。
正直言うと、食べたいのかもしれない。
でも、マイの気持ちをまだ聞いてないし、最初からクッキーに頼るのも、何か違う気がして」
「そういうの、まっすぐなイサらしいね。
でもさ、それを食べれば、わざわざマイちゃんのこと探しに行かなくても済むんじゃないの?」
「そうかもしれないけど……。
時間がかかっても、長く旅することになったとしても、俺は自分の力でマイを見つけたいんだ」
イサはきっぱりと言った。
「クッキーは最終手段」
「とか言いながら、イサはきっと食べないと思うよ」
リンネは何もかも見透かしたように得意げな顔で、
「だったら、そのクッキー、私が食べたいな。
恋が叶うんでしょ?
そんなのどこにも売ってないし、捨てるなんてもったいないもん」
「え……?」