イサは、マイが魔法使いだということをひっくるめて、彼女を大切にしていた。

いつもマイの気持ちに寄りそうように接して……。

しかしマイは、そういった甘い感情で自分の罪を消すことは許されないと感じていた。

“現に、私は魔法の能力で黒水晶を暴走させて、ガーデット城を崩したんだから。

イサ達が許してくれても、世界中の人は認めてくれない……。

それに、私が責められなきゃいけなかったのに、非難の声は全て、イサが背負ってくれた”

これ以上、イサに精神的負担をかけたくなくて、マイは口にできなかったことがある。

「魔法使いとして堂々と生きたい。世界中の人々に認められたい」と――。


マイがルークに頼んだイサへの伝言も、半分はウソだった。

魔法能力が無くなったなんて、口から出まかせ。

“ルークは、私のウソに付き合い、守ってくれた。

イサは素直だから、きっとルークの話を信じる……。

私から魔法能力が無くなったと知れば、イサは安心して他の女の子を好きになれる。私のことを忘れてくれる。

もう、魔法使いの行く先や立場を心配し、悩まなくて良くなるんだから。

そうだよね? リンネ……”