翌朝。カーテン越しに柔らかい朝日を浴びたイサは、その目をうっすら開けた。

昨日、遅くまで剣術の稽古をしていたので、もう少し眠りたい。

再びまぶたを閉じると、一人の家臣がノックもせずイサの部屋に飛び込んできた。

家臣は、ガーデット帝国時代からイサに仕えている者である。

「イサ様!! 大変です!

マイ様が姿を消しました!!」

その一言は、どんな目覚まし時計よりもイサの眠気を消し去る効果があった。

「本当か!?」

イサは夜間着のままベッドを抜け出し、家臣に詰め寄る。

「マイ様の部屋の荷物が全て無くなっておりました。

この城には二度と戻らないという旨(むね)の書き置きもありました。

今、城の者全員で手分けして、マイ様を捜索しています。

イサ様も身支度を整えたらすぐお越し下さい!」

矢継ぎ早にそう言い、家臣は部屋を出ていった。


「そんな……。マイ……!

ウソだろ!?」

突然のこと。

イサは混乱した。

動揺のあまり、部屋の中を行ったり来たりすることしかできない。