マイの想いを感じ取ったイサは、にぎっていたマイの手を離すと、床に手をつき土下座した。

「イサ様…!」

「イサ?」

イサのそばにいたセレス王妃とマイは、目をむく。

「父が……ヴォルグレイトがアスタリウス王国の人達を……。

マイの両親や仲間を……」

イサは床に額をつけ、父·ヴォルグレイトが犯した罪をマイに告白した。

話している途中、ノドから血が出るような感覚がした。

「……ヴォルグレイトはマイの大切なものを奪った。

……ヴォルグレイトがリンネをガーデット城に置いていたのも、いずれ彼女を利用するためだったんだ。

リンネは魔法を使えない。

魔法使いと人間の間に生まれたイブリディズモであるリンネも、能力レベルは人間と同じ……。

でも、ヴォルグレイトはこう考えた。

万が一、マイの肉体が黒水晶の暴走によって壊れてしまった時、血を分けた双子の妹であるリンネは、マイの代わりに黒水晶の能力を操れる可能性があったんだ。

エーテルはそれを知っていた……。

でも、マイとリンネに危害を加えられないように二人を守ろうとし、さらに、長年、何も知らないフリをして俺と関わってたんだ……。

俺はバカだから、リンネが城にいる本当の理由を、ずっと知らなかった。

リンネをガーデット城の部屋から解放してくれたのは、全てを知ったフェルトとレイルなんだ……」

「リンネ……! リンネも過去を知ってるの!?」

マイは血相を変えた。

重たい体を動かせないのがもどかしい。

「いや、リンネには、過去の記憶がない……」