「マイにとっては、残酷すぎる話だよな……。ごめん……」

イサは謝る。

自然の神達は、イサに言っていた。

マイの記憶は戻っている、と……。

それなのにこんな話をしたら、マイはこの先、世の中に絶望しか感じられなくなるのではないか……。

ただ、イサが本当のことを話したのには、大切な理由がある。

イサには、これまでになかった意思が芽生えていたのだ。

自国の歴史を知らなかった愚かさと悲しさ。

イサはマイに、自分と同じ思いをさせたくなかったのである。

たえがたく、耳をふさぎたくなるような歴史でも、過去を知らないことは場合によって罪になるし、未来にも影響する。


“俺は、マイと一緒に未来を変えたい。

今まで、何度も繰り返された残酷な出来事を、これ以上繰り返させない!

差別や戦争、迫害が、一切起こらない世界にしたい!

俺達が、強い心を持ち悪いものを断ち切るんだ!”

純粋な心を持ったマイと一緒なら、それが可能だとイサは感じている。