イブリディズモには、魔法を使える子とそうでない子がいた。

魔法を使える子は、自身の魔法能力で会社を作ったり商売をして、稼ぐ手段を得たり、住まいを築くこともできたが、そうでない子には絶望的な道しか残されていなかった。

働き口がないから稼げないし、生きていけない。

純正な人間である実の親に「お前がいると働き口が無くなるんだ!」と言われて捨てられるイブリディズモも、大勢いた。


そうした差別の動きは、瞬く間に世界全体に広がった。

入学や就職活動の時にだけ行われていた血液検査も、最終的には、出産後の赤ちゃん全員に義務付けられるようになる。

周囲の人々が、純正の人間とイブリディズモを見分けるためだ。

生まれた時、血液検査でイブリディズモだと分かった赤子には、そうだとわかるような印を手の甲に刻む。

結果、イブリディズモは一生、その運命や体質を人目にさらして生きていかねばならない。

彼らの大半が差別され、心ない者に攻撃され、死んでいく。


最初は差別を無くそうと息巻いていた《共存派》の人間も、次第に、世界中から向けられる差別の目に耐えられなくなり、最終的にはこう宣言した。

『魔法使いに関わるとろくなことがない! 奴らを殺そう。

そうしたら、イブリディズモも生まれなくなる。

俺達も差別されずに済む!』


《利用派》の思惑通り、事は進んだ。

かつては魔法使いと共に生きることを喜んでいた《共存派》の手によって、魔法使いとイブリディズモの虐殺が行われた。