そうして時は流れ、人間達の間には、大きく分けて2つの派閥(はばつ)が出来た。

魔法使いを一方的に利用し、楽して欲望を満たす《利用派》と、

魔法使いと協力しあい、互いの弱点を補い合って生きることを喜びとした《共存派》。


《利用派》と《共存派》は、長い年月の中でいがみ合うことも多かったが、話し合いの場を持って歩み寄ろうとしたり、親しくなる努力をした瞬間も幾度かあった。

しかしながら、何度話し合いをしても両者が互いの考え方を理解し受け入れるのは難しいことだった。

魔法使いに全てを任せ欲望を満たす者と、自分達で努力することを忘れない者。

根本的に、考え方が違いすぎる。


両派閥の争いは、次第に、世界のあり方やバランスをも崩していった。


魔法使いを利用するのではなく、自分たち人間と同じように大切にしよう。

そう考える《共存派》の人間達にとって、生きにくい世界へと変わってしまったのだ……。


昔、世界には《共存派》の人間が多く住む国が多数あった。

そうなると、世の中には自然に、魔法使いと人間の間に生まれた子供(混血児)が増えていった。

混血児は、《イブリディズモ》と呼ばれるようになる。


現代では、ほとんどその姿を見ることはなくなったが、魔法使い·レイナスと人間女性·エリンの間に生まれた双子の姉妹……。

マイとリンネも、イブリディズモである。