しかし、自然の神達の行いは、良い方に働かなかった。
人間は、自分達より先にこの世に存在していた《魔法使い》という種族を、制圧しようと考えたのである。
魔法使いは、文字通り、不可能を可能にする魔法の力を持っている。
自分達の能力に限界があると知っていた人間は、自分達の欲を満たすために、魔法使いの力を利用しようと考えるようになった。
金が無くても、魔法使いに頼れば衣食住に困らない。
魔法使いはDNAレベルで穏やかな性格をした者ばかりだったため、人間達の下す一方的な命令にも、不満や嫌悪感を抱くことなく従っていた。
他者のために尽くすことが、魔法使いにとっての生きがいだったから。
魔法使い達の従順さは、短期間のうちに人間達を傲慢(ごうまん)にした。
中には、人間の横柄さに不信感を持ち反抗する魔法使いもいたが、そういった者には容赦ない罰が与えられた。
みせしめとして、反抗的な魔法使いと親しくしている無垢な魔法使いを、死ぬまでコキ使うのだ。
そうすれば、反抗的な魔法使いは人間に逆らえなくなる。
人間は、思い通りに動いてくれない魔法使いに対してはそのような精神的攻撃をしかけ、最終的には全ての魔法使いを掌握(しょうあく)した。