セレスを見ていると、亡きエーテルを思い出してしまう。

マイの胸は、大事な友人を亡くした喪失感と、とんでもないことをしてしまったという罪悪感で埋めつくされていった。

魔法で人々の心を惑わし、ガーデット城を瓦礫(がれき)の山にしてしまった。

「黒水晶が無かったら、ヴォルグレイト様も間違いを起こさなかったかもしれない。

カーティスさんやエーテルも死なずに済んだかもしれない。

全部、私のせいだ……」

マイの頬を伝う涙が、枕に染み込む。

“泣いたって許されないよ……”

自責の念は、涙を流すほどに深くなった。

イサは、マイの手に触れていないもう片方の手で、仰向けに寝ているマイの頭を優しくなでる。

彼の目はとても優しかった。

「マイのせいじゃない。

黒水晶はもう無くなった。安心していいんだ」

「壊れた? ウソ……。どうやって!?

壊せないから、私達魔法使い一族の人間は必死に黒水晶を隠してきたんでしょ!?」

蘇った記憶を頼りに、マイは勢いよくそう口にした。

アスタリウス王国を統治していたマイの父·レイナスも、黒水晶の保管には神経質になっていた。