「その人も、自然の神なのか?」
問いかけるイサに、グレンは答えた。
「ああ。リジェーノは、土の神なんだ。
地震の頻度や土の質を調整して、人間界に恵みを与えるのがリジェーノの役目。
ま、本人は服に土がつくだけでめちゃくちゃ怒るんだけどね」
「余計な話はしないで」
キッとグレンを見やると、リジェーノと呼ばれる土の神は、彼の頭にゲンコツを食らわせた。
ルークはそれを見て苦笑する。
「リジェーノは相変わらず男に厳しいな。
いくら何でも、殴るのは大人げないよ」
「それもそうね」
リジェーノは全く反省していないようにそう言い、両手で頭を押さえてうずくまるグレンを一瞥(いちべつ)してからイサに向いた。
イサは落ち着かない様子でリジェーノを見つめ、
「『魔法使い一族を放っておけなかった』って、どういう意味ですか?」
「そのままの意味よ。
一言では語れない……」
うつむくリジェーノの後ろから、6~7歳ほどの幼い少女が走ってきた。
この流れからすると、もしかして、あの子も自然の神なのだろうか、と、イサが考えていると、
まさにその通り、彼女も自然の神の一人だったのだ。