マイが幼い頃のこと。
テグレンが街の踊り場の階段で足を滑らせ、転がり落ちた。
その衝撃で、全身の骨を折ってしまったことがある。
運悪く、折れた骨はテグレンの内蔵にまで達し、人間が営む医療機関での治療は難しいと言われた。
当時のマイは、今ほど魔法薬の知識を持ち合わせておらず、テグレンの体を全回復させられるような薬は作れなかった。
テグレンの命をあきらめるしかないのかと泣き暮れていたマイの元に現れ、テグレンを助けたのがルークだった。
その頃、本を貸してくれた人間に礼をしたいと考えていたルークは、そのことをマイに相談し、彼女の力をかりて《恋を叶えるクッキー》を作ることに成功したのだった。
マイも、本来ならそういう類のアイテム創作は拒否する主義なのだが、テグレンの命を救ってくれたルークにだけ、特別に魔法の力をかすことにした。