「なっ! もしかして、おっ、お前も、マイに言い寄ってたのか!?

マイは俺のだぞ!」

ルークを牽制(けんせい)するグレン。

それまで黙って二人を見ていたイサが、すかさずグレンに蹴りを入れた。

「マイはお前のもんじゃない!

勝手に決めんなっ」

「うるさいっ! ヘタレは引っこんでろ!」

「ヘタレ言うな!」

言い合うイサとグレンの横で、フェルトとレイルは穏やかに笑み、アルフレドは「やれやれ、暑苦しくてかなわないな」と、あきれている。


もみ合うグレンとイサを横目に、ルークが口を開いた。

「安心しなよ、グレン。

僕とマイは、お前が想像するような仲ではない」

グレンとイサは言い合いをやめ、ルークを見た。

「最近、ルーンティア共和国の向こうにある火山が活性化していたのは、やはりグレンのせいだったんだね。

僕は一度、自分の正体を明かしてマイとコラボしたことがあるんだ。

恋を叶えるクッキーは、その時、マイと共に作ったもの。

不思議なことに、そのクッキーは、どれだけ年月を経過しても腐りはしない。

人の心を操るようなアイテムは、さすがに僕だけの力では作れないからね」