グレンは頬を膨らませ反論する。
「あのさぁ、人間には分かんないだろーけど、俺らみたいな自然の神には、自由な時間が少ないんだよ。
それにさ、俺って炎の神じゃん?
噴火口で煮えたぎる溶岩見てると、こう思うわけ。
『激しく燃えるような熱くて甘い恋がしたいな~』って。
この気持ち、分かってくれるだろっ?」
グレンは、そばのアルフレドに同意を求める。
「共感を望んでこちらに話を振ったのだろうが、共感しかねる。
私は一人で静かな時間を過ごすのが好きなんだ」
アルフレドはため息まじりに答えた。
「そんなぁっ!」
味方だと信じて疑わなかった同僚アルフレドに突き放され、グレンがなげいていると、
「自由時間が少ないのは、グレンが未熟な証拠だろう?
僕は毎日、人間の家から本を数冊拝借し読破しても、時間が有り余ってるけれど」
と、落ち着いた少年の口調が聞こえた。
「ルーク!」
グレンが振り向くと、ルークと呼ばれた少年が、本を片手に立っていた。
「火山噴火の頻度は、グレンの精神状態に左右される。
グレンが恋情に振り回されているうちは、噴火が何度起きても不思議ではない。
イコール、グレンの仕事が増える、ということだ」
ルークは冷静に解説した。
「おい! 何で今日はそんなにしゃべるんだよ。
いつもはもっと無口なクセにっ」
ルークに対し、グレンはムキになった。