グレンは真っ赤に燃えるマグマのような髪色と同色の衣装に身を包み、白い歯を見せてニカッとした。

彼の日焼けした肌からは、毎日剣術の訓練を受けていたイサ以上の筋肉がついている。

本人いわく、「筋トレの賜物(たまもの)」だそうだ。

風船なみに軽い言動に似合わず、グレンは根っからの努力家である。


「グレン!」

イサは、フェルトやレイル、アルフレドの間をすり抜け、顔見知りのグレンに近寄った。

「何でここに!?

また、マイに何かする気か?」

森で初めて出会った時のグレンを思い起こし、イサは警戒心をあらわにした。

少し前のこと。

グレンは、魔法薬を作るため木の実を収穫しようと森に入ったマイの血を吸おうと、企んだことがある。

アルフレド同様、その時、グレンの力も弱まっていた。

マイの魔法で治癒(ちゆ)してもらうと、グレンは去っていった。


グレンは、マイのことを気に入ったらしく、必要以上に彼女をかまっていたので、イサは個人的にそのことを気にしていた。