「フェ……ル、ト……」
ディレットの魔術に破れたイサは床に倒れたまま、フェルトとレイルを目で追った。
二人は、魔術で姿を消すことによって城内探索を終え、ここに駆け付けてきたのだろう。
フェルトは横たわるイサとエーテルを交互に見やってから、ディレットに近付いた。
「……お気持ちは分かります。
正直私も、ヴォルちゃんの横暴には目も当てられませんでした。
それに、私もあなたと同じ願いを持っています。
トルコの街並を再建、復興したかった……。
だからこそ、どんなにうちひしがれても生き延びて、トルコを想い、これまで動いてきました。
……復讐なんてやめて、私やレイルと一緒に三人で、トルコを新設しませんか?
通りすがりの旅人達が思わず住みたくなる、そんな健やかで居心地の良い国を、私達が作り上げましょう!」
「断る!!」
間髪(かんぱつ)容(い)れず、ディレットは力強い口調で言った。
「俺はここに存在する全ての者を倒し、黒水晶を落手するために遠来したんだ。
邪魔すると言うのならば、お前達がトルコの民であろうとも、容赦はしない!!」