防御壁を展開するマイの手のひらには汗がにじんだ。

猛獣のようなディレットの魔術を連続で受け、両足にも震えがくる。

“ディレットは大切な人を失い、我を忘れてる……。


私には身内なんて一人もいないけど、大切な人はいる。


テグレン。幼い時から私を気にかけてくれた。

本当の家族に憧れたこともあったけど、テグレンの優しさが私を強く立たせてくれた。


イサ。突然ウチにやって来た時はビックリしたけど、旅していて分かった。

一生懸命国のために動いているイサは頼もしかった。


エーテル。綺麗で落ち着いていて、魔術レベルも高くて次期王女様で。

絶対、知り合うことのない立場の子なのに、初めての女友達とは思えないくらい気さくに話しかけてくれた。


リンネ。髪型以外、私とまったく同じ姿をしていて驚いたけど、あなたを見てると懐かしい気持ちになるんだ。

イサとエーテルが大事にしているリンネは、私にとっても大切な人だよ”


「ディレット……。あなたにも大切なものがあって戦いをしているんだね。

でも、私にも大切なものがあるから!

失いたくないから!」

マイは叫んだ。

「全力で守るよ……。みんなを!」