「マイのおかげで、しばらくはアルフレドも無事でいられるだろう」

イサは言った。

エーテルは神妙な顔で、

「そうね、けど……。

こんなことが起きているのに、国から伝達のひとつもないのはおかしい」

マイはその空気をまぎらわすべく陽気に、

「よくわからないけどさ、イサとエーテルの国には、まだこのことが伝わっていないんじゃないかな?

私たちが伝えに行くことはできないの?」

テグレンもそれにうなずく。

「それはありえるね。

オリオン街に不穏な動きがあったのも、つい最近の話だしね。

イサ達の国も、事態を把握していないんじゃないかい?」

イサはテグレンの視線を受け、考えを巡らせる。

「国に伝わってない?

そんなはずないが、そういう可能性もあるよな……。

エーテル。ルーンティア共和国かガーデット帝国に通信できるか?」

「ここからじゃ無理。

距離が離れすぎているから」

「そっか……。国に戻って、様子を見に行く必要があるな」

「そうね」

イサはマイの方へ向き、

「いまは、エーテルの力をもってしても、国と通信することができない。

最初は急ぐつもりのない旅だったが、この異常を知ったからには一刻も早く国へ戻りたい。

付き合ってくれるか?」

「もちろん。またアルフレドみたいな神様が襲ってきても、私がなんとかするからさっ」

マイは杖を片手にウィンクした。

「マイにはあまり力を使わせたくなかったのに、こんなことになってごめん……」

イサがうつむくと、マイは自信満々に胸を張り、

「これでも魔法使いのハシクレなんだから、ちょっとでも皆の役に立てるのなら嬉しいよ。

だから気にしないで」

テグレンとエーテルは、微笑ましげにその様子を見ていた。