マイはひとり、イサの険しい表情とアルフレドの辛そうな様子を交互に見て胸を痛めていた。

自分の持つ杖のせいで、戦わなくてもいいはずの相手との戦いを強いられているのだから……。

心配してとめるテグレンを振り切り、マイはアルフレドとイサの間に立った。

「あの! この杖は大切な物なので渡せません。

でも、水のオーラを強化する魔法を、あなたにかけることならできます。

イサ、エーテル、テグレン……。

旅をしながら、この星の異常の原因を突き止めることはできないかな?

アルフレドって悪い神様には見えないし、苦手な森にまでやってきたのにこのままじゃ可哀相だからら……」

ギュッと杖をにぎりしめるマイに向け、エーテルは優しく言った。

「そうね。この異常は放置できない。

どこかでなにか、良くないことが起きているのかもしれない……」

イサも決意した顔になる。

「国から何の報告もないのは気になるけど……。

アルフレドをこのままにはできないし、マイの杖を渡すわけにもいかないからな。

俺たちだけで、できるとこまで調べよう」

マイは目を輝かせ、

「二人とも、ありがとう!

じゃあ、アルフレド。目を閉じて」

と、アルフレドに向けて杖をかざした。

「これはっ!」

見た感じ何も起きていないが、アルフレドの顔色はみるみる良くなり、目を見開いて感嘆の声をあげている。

「ありがとう、魔女の君。

これでもうしばらくは、世界の異常を気にせず普通に過ごせそうだ」

「よかった……」

マイが微笑むと、アルフレドは水色の淡い光に包まれその場から消えた。


「最近オリオン街でも不穏な動きがあったけど、アルフレドが言ってたことと関係あるのかね……?」

テグレンはアルフレドが消えた場所を凝視して思案顔になる。

イサとエーテルも目を合わせ、難しい顔をした。